Artist’s concept of the heating mechanism from Jupiter’s Great Red Spot
Credits: Art by Karen Teramura, UH IfA with James O’Donoghue and Luke MooreNASA
木星の大赤斑から熱が放射されているところのコンセプトイメージ画
オリジナルサイト:Jupiter’s Great Red Spot Likely a Massive Heat Source
新しいNASAの研究では、木星の大気の異常に高い温度は、大赤斑が熱源になっているかもしれないという、興味深いものでした。
地球上では、太陽光が地球の大気を温める熱源となっています。その大気は、国際宇宙ステーションの軌道である、地表250マイル上空まで広がった空間です。科学者たちは、木星は地球と太陽の距離の5倍も遠くにありながら、木星の大気の上部が極めて高い温度であることの理由がわからずにいました。科学者たちは、太陽光が熱源でないのなら、木星の大気を熱くしている熱源は何なのか、ずっと知りたくてウズウズしていたのです。
ボストン大学の宇宙物理学センターの研究者たちは、地球からの観測で、木星の雲の上層部の温度を測定して、謎を解明しようとしています。彼らは、ハワイのマウナケアにあるNASAの赤外線望遠鏡施設(IRTF)で、ハワイ大学の3メートルの赤外線望遠鏡を使ってSpeX分光計からのデータを分析しました。非可視赤外光による観測の結果、科学者たちは、木星の南半球の特定の経度緯度の地点で、木星の大気の上部数百マイルが熱くなっている場所を特定したのです。
「我々は、木星の大気の上層部で高温になっている場所をすぐに特定することができました。偶然一致というか、大きな目印だったというか、もちろん、それは大赤斑の真上だったのです。」と、ボストン大学の主管研究者のジェームズ・オダナヒューは語っていました。
Nature誌の7月27日号で、大赤斑で吹き荒れている嵐が、2種類の乱流エネルギー波を生成し、2つの波がぶつかり合いながら上空の大気を加熱するのだと結論付けています。引力による波は、ギターの弦がはじかれた時の動きと、とてもよく似ていて、音の波(音波)は空気の圧縮されてできるのです。木星の場合も同じようなことで、大赤斑上空500マイル(800キロ)の大気が加熱されるのは、海岸の波打ち際の波のように、2種類の波の衝突によって引き起こされているのです。
訳者注
実はこの記事は、NASAの木星探査機ジュノーのチームではなく、天体観測チームによる記事です。
木星の大気の温度が、地球より5倍も太陽から遠いのにもかかわらず、異様に高いのは、あの大赤斑から放射されるエネルギー波による、つまり大赤斑が熱源なのだと推定しています。
Nature誌の7月27日号に論文が掲載されるようです。
この記事は大赤斑についての記事ではありますが、大赤斑の成り立ちについては検討されていません。
大赤斑はなぜできたのか?
大赤斑の下には何があるのか?
NASAの木星探査機ジュノーが、その謎を解き明かしてくる日は近いです。
それにしても待ち遠しいですね。