NASAの木星探査機ジュノーの軌道投入が成功して、日本でもニュース・新聞等で報道されました。
その際、スコットのガッツポーズと「木星を征服した」という日本語が使われており、とても危惧しています。
これは大手通信社が配信した日本語記事を日本のマスコミ各社が採用したことによります。
無人探査機「ジュノー」の木星軌道投入に成功した米航空宇宙局(NASA)のチームが米東部時間5日、カリフォルニア州パサデナで記者会見し、主任研究者のボルトン氏が「木星を征服したぞ」と腕を突き上げて歓喜した。会場は歓声と拍手に包まれた。
「木星を征服したぞ」では、傲慢で鼻持ちならない印象を与えてしまいませんでしょうか?
スコットの発言は、
’We’re in orbit! We Conquered Jupiter.’
というもので、
「何とか木星の軌道に載せることができたぞ!いろいろあった困難を乗り越えたぞ。」
という意味です。
学生で言えば、悩み続けてきた難問を解けた時のような、
会社員で言えば、難しかった新製品の開発の課題がクリアできた時のような、
やったーという素直な気分なのです。
‘We Conquered Jupiter’: Juno Enters Orbit
木星には強烈な放射能と、桁外れに強い磁場があります。
電子機器の塊である探査機ジュノーにとっては、最悪の環境なのです。
そこで、電子機器への影響が最も少ないであろう木星の北極から接近したのです。
またリスクを避けるために、木星に近づいては離れる楕円軌道をワザワザとっています。
いつフリーズしたりハングしたりするかもしれない心配から、ひとまず解放され「やったー!」というスコットの素直な喜びのアクションとコメントなのです。
そもそも木星の軌道に到達しただけです。
木星の大気のガスの謎も、ガスの中の様子や木星の本体(コア)についても何もわかっていません。
「征服」という日本語になるはずがありません。